設立の経過と組織の変遷

福祉事業の開始と「生活クラブ運動グループ地域福祉推進会議(略称F推進)」発足

生活クラブでは1986年に、組合員どうしのたすけあいを制度化しエッコロ共済がスタートしました。そのエッコロ共済の考え方を発展させ、地域の中でたすけあいの仕組みをつくろうと92年9月に「アビリティクラブたすけあい(略称ACT)」を設立、93年には、社会福祉法人悠遊を設立し、保谷センター2階にデイサービスセンターを開設しました。
「すべての人間が生まれてから死ぬまで人間としての尊厳を保ち、人間らしく生きられる社会(ノーマライゼーション)」を市民の自治と協同によってつくっていくことを目的に、生活クラブ、ACT、悠遊、東京ワーカーズ・コレクティブ協同組合、東京生活者ネットワークが連携して地域福祉の活動を進めようと、92年12月に「生活クラブ運動グループ地域福祉推進会議」が発足しました(この前身として「生活クラブ地域福祉連絡会議」が92年4月に発足)。
「生活クラブ運動グループ地域福祉推進会議」では、各団体の活動の共有と運動グループとしての政策提言、ACTと保谷デイサービス事業の立ち上げ準備を行いました。また、運動グループで進める地域福祉のあり方を考える「連続公開講座」や海外ツアーなどの企画実施、人材育成としてホームヘルパー3級、2級課程講習も企画開催しました。

「生活クラブ運動グループ地域福祉推進会議」から福祉協議会設立へ

2000年の介護保険制度開始を踏まえ、運動グループが展開する様々な活動の普遍化と、問題を先取りした活動展開のためには、東京全体でより有効な情報の受発信とコーディネイトの機能が必要との観点に立ち、「生活クラブ運動グループ地域福祉推進会議」(F推進)を発展させた形で福祉協議会を立ち上げました。生活クラブ(東京及び4ブロック単協)、ACT、社会福祉法人悠遊、東京ワーカーズ・コレクティブ協同組合、東京・生活者ネットワーの9団体で設立し、人材育成や地域の事業化を支援する中間機能を持った組織として独自事業を展開する法人化を目指しましたが、事業の財政基盤等の問題で、法人化については実現に至りませんでした。

東京運営委員会のもとの協議会である福祉協議会に

福祉協議会設立後、「生活クラブ運動グループによる21世紀型地域機能づくり構想」に基づき、新たな機能を生み出すために「生活クラブ運動グループ東京運営委員会」が結成されました。福祉分野だけではなく、農業、教育、環境分野などについても必要な機能を検討し「農作業受託ネットワーク 特定非営利活動法人 たがやす」や「NPOコミュニティスクール・まちデザイン」「東京コミュニティパワーバンク」「NPOコミュニティファンドまち・未来(現在NPOまちぽっと)「環境まちづくりNPOエコメッセ」という新たな機能を生み出しました。これらの機能と有機的に連携し、より一層の地域福祉の推進をはかるために福祉協議会の組織変更を行い、2005年からは東京運営委員会の福祉部門の協議会となりました。会議の性格を「共通ビジョンの策定・それに照らした各団体活動の共有・ビジョン追求のための協議」とし、東京運営委員会の予算の中に福祉協議会予算を位置づけ、活動を進めることに変更しました。専任事務局は置かず、構成団体より事務局を出し合い、運営を進めました。

福祉協議会からインクルーシブ事業連合へ

生活クラブ運動グループの福祉の取り組みも、地域福祉推進会議発足から20年近くが経過、この間、高齢者福祉、子育て支援、障がい者福祉の政策において、地域の様々な機能が連携しながら包括的に支える福祉のあり方が提案されるようになってきました。また、当事者が抱えるニーズも複合的になり、ひとつの事業体や機能だけでは解決できない問題も増えてきました。運動グループのこれまでの成果を活かしつつ、連携して新たな機能を生み出す事がますます必要となってきていると言えます。各団体の事業の共有や推進のための協議を行うことを1歩進め、新たな機能の創出をスピードアップするための中間支援機能としてインクルーシブ事業連合が構想されました。福祉協議会としては、一定の役割を果たしたということで解消し、その機能をインクルーシブ事業連合に移行、さらなる地域福祉の推進に取り組む方針としました。

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